前回は脳卒中の在宅でのリハビリで大切なことと、自分でできる手の運動についてお話しし ました。
そこで片麻痺の方が、ご自宅で出来る リハビリを中心に、何回かに分けて お話ししたいと思います。 |
脳卒中で片麻痺になると筋肉の緊張が高くなることが多くあります。また肩が痛くなる、関節が硬くなる、手がむくむといった症状があらわれる場合もあります。そこで適切な手の管理やポジショニングが必要となります。
◆ポジショニングとは
姿勢を整え、安定した姿勢を確保することです。ポジショニングを行うことで、関節が硬くなることを予防したり、筋肉のバランスを整えリラックスできるようにする、肩の痛みや手のむくみを予防するといった効果が期待できます。
次に具体的にどのように行っていけばよいかお話しします
① 仰向けで寝ている際のポジショニング
まず重要なことは体がゆがんだ姿勢になっていないかを確認することが大切です。その為に骨盤の位置を確認します。骨盤の左右の出っ張っている部分に手を当て、骨盤が前後にねじれていないか、左右に傾いていないか確認します。自分で難しい方はご家族に確認してもらいながら姿勢を整えてください。次に麻痺側の肩や骨盤は重みによって後方に引かれてしまい、肩の痛みの原因になります。折りたたんだタオルやクッションを麻痺側の肩甲骨や骨盤の下に敷きます。また肩から肘や手にかけてクッションを入れてあげることで手のむくみの予防にもなります。自分自身で楽になる位置や高さに調節してください。
② 車椅子や座っている際のポジショニング
寝ている時と同様に骨盤の位置を確認してく ださい。座っている際は特に骨盤が後方へ傾きやすく前に滑ってしまう座り方になりやすい状態にあります。骨盤が後ろへ傾いていると筋肉の緊張が強くなります。骨盤が後ろへ傾いていないか、前後にねじれていないか確認し整えてください。
またここで述べた方法はほんの一例です。同じようなポジショニングをしていても個人により反応は様々です。個々の状態に合わせて調整しながら行ってみてください。
作業療法士 中沢宏彰