ある日の出来事を通じて

看護部長 辻村淑子

 

 今年の夏は、連日35度以上の猛暑と記録的なゲリラ豪雨で日本列島が、悲鳴を上げていました。各地でおおきな被害が出ており心が痛みます。少しでも早い復興を願っています。

 さて、先々月、病棟廻りをしている時の出来事を紹介します。失語症の患者さんが職員を指さし怒っています。話を聞くと医療者側の一方的な説明で相手に内容がよく伝わっていない様子でした。相手の立場にたって話をまず受け止め、耳を傾ける必要があったと思います。相手を全面的に受け止めると、相手に対してやさしくなれます。そして同時にその人の背景や病気への理解が大切です。「やさしさのある確かな看護」には技術の裏付けがなければ本当にやさしくなれないと思います。日頃から私は、看護・介護のスタッフへ患者さんを差別することなく、優しい看護・介護をしてくださいと話しています。経験を積んでいくと今までわからなかった患者さんの変化に「あれ?おかしいな」と気づくようになります。

 忙しさを理由に中途半端な対応をしたら必ず患者さんから見抜かれます。看護・介護はこちらがしているようでいて実は患者さんから受け取る方が大きいのです。

 退院される時の「ありがとう」の一言で私たちは元気をもらい忙しさを忘れてしまいます。そして例年病院では、患者満足度調査を実施しています。6 月に行われた結果は、5 段階評価で428名に協力していただき、平均4. 32点と満足していただける評価で感謝の言葉も多くありました。しかし、厳しい指摘事項もあり解決へ向けて現在、働きかけをしています。

 ところで、私は、オルセー美術館所蔵の印象派の絵画展が六本木美術館で開催されていると聞き、目の保養に出掛けてきました。久しぶりの美術館訪問でしたが、お盆休みと重なり人人の波で絵を見るより人の頭の隙間から覗くような鑑賞でした。その中で、心が温まり一番気に入った絵は、クロード・モネの光と陰影を巧みに取り入れた「カササギ」です。雪の風景の中に一羽の鳥(黒いカササギ)が夕日の陽の光を浴びて自然の中に溶け込んでいる描き方がとても素敵でした。  


 これからもスタッフと自身もリフレッシュしながら優しい看護・介護をしていきます。

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