〜シリーズ〜

在宅でのリハビリについて③

前回は脳卒中の在宅での手の管理と

ポジショニングについてお話しました。

 

今回は車いすについてお話します。


 脳卒中で片麻痺となり車いすを在宅での生活の手段、外出する際の移動手段の一つとして利用されている方も多くいることと思います。しかし、車いすに座っていてお尻が痛くなる、姿勢が前方や斜めに崩れてしまい頻繁に直さなければいけない方も多いのではないでしょうか。

 そこで今回はその原因と対処法についてお話ししたいと思います。

1.体と車いすのサイズを確認しましょう。

車いすに奥まで座った際に座面の前端がふくらはぎにあたらないか確認しましょう。あたっているとそれを避けるためにお尻を前方に滑らせて崩れてしまいます。膝と座面の隙間は2〜3㎝程度、足こぎをされる方は3〜5㎝程度を目安にしましょう。
車いすに座った際の横の幅を確認しましょう。横の幅が広く隙間が空いていると左右に崩れる原因となります。左右1〜2㎝程のゆとりを目安にしましょう。
足を乗せている台の高さを確認しましょう。 足を乗せている台が高すぎるとおしりに圧がかかり痛みの原因となります。また前方に滑りやすくなる原因ともなります。膝の位置が上がりすぎていないか確認しましょう。


2.車いすやクッションが適切な状態か

   確認しましょう。

車椅子の座面部分のスリングシートがたるんでいないか確認しましょう。車いすが古くなりシートがたるんでいるとおしりの部分に圧がかかりすぎ痛みの原因となります。また姿勢が横に不安定な状態となりやすい為、崩れの原因となります。
クッションを使用しましょう。短時間をのぞいてシートに直接座らないようにしましょう。クッションを使用することで安定性と体重分散をはかり、痛みの緩和をはかることが出来ます。またシートがたるんでいる場合はクッションの下にうすい板やタオル等でたるみを解消する対策も必要です。
クッションの状態を確認しましょう。クッションにも様々な種類がありますが重度な感覚障害や褥瘡などがない場合、多くの方はウレタン製のクッションを使用していることと思います。ウレタン製のクッションは使用頻度にもよりますが耐久年数が1〜2年といわれています。クッションのおしりの部分が硬くなっていれば交換時期の目安かもしれません。

 今回お話しした車いすの姿勢の崩れや痛みの原因と対処法はほんの一部です。お困りの際は、ケアマネージャーやセラピスト、福祉業者に相談してみましょう。まずは現在使用している車いすが御自身に合っているのか考えるきっかけになっていただければと思います。


作業療法士 中沢宏彰

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