細菌やウイルスが体内に入り込む入り口、それは口です。

 手洗いやうがいも、ウイルスが口を通じて入らない、感染しないようにするための予防策です。口腔環境を清潔に保つことは、インフルエンザ予防に有効な方法の一つです。

 

新しい方法の一つとして「適切な口腔ケア」

 インフルエンザウイルスの感染・増殖・拡散のメカニズムが解明されるなか、適切な口腔ケアによって、口内の細菌と細菌由来の酵素活性を減少させていくことが、インフルエンザの予防に有効であると考えられています。

 口腔ケアがインフルエンザの発症率にどんな影響を及ぼすか調査が行われました。

 この調査は2003 年から2004 年にかけて6ヶ月間、要介護の高齢者の方々を対象に、歯科衛生士が週1回の口腔ケアを実施したグループと、実施しなかったグループでインフルエンザの発症率について調べたものです。

 調査の結果、口腔ケアを実施しなかったグループは、インフルエンザ発症率が92名中9名(9.7%) に対して、実施したグループは発症率が98 名中1名(1%)という結果となり、口腔ケアがインフルエンザの発症を抑えるのに高い効果があるということが示されました。

 インフルエンザウイルスは、気道の粘膜に付着して増殖します。本来、気道粘膜にはタンパク質の膜があるためウイルスが付きにくいのですが、歯垢や汚れが増えると、プロテアーゼなどの酵素がタンパク質を破壊し、お口の細菌が増殖すると、インフルエンザになるきっかけになります。 つまり、ロ腔内を清潔に保つことで、酵素が出来にくくなり、ウイルスの増殖が抑えられます。

 予防策としては、正しい歯磨き、歯と歯茎の間の歯石、歯垢はきちんと除去し、舌は、舌ブラシで舌苔を取り除きます。

 

歯科衛生士 丸山みどり

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