年頭所感

病院長 長倉和彦

 

 新年明けましておめでとうございます。昨年は、東京オリンピック開催と新幹線開業や東名高速道路完成から満50年でした。50 年前は、高度成長という言葉の通り、夢と希望を胸に日本中の人々が懸命に働いていた時代でした。それから時が過ぎて、成熟した社会の時代に変わりました。多様な考え方や生き方を求めて、それぞれが個性的な人生を進むこともできるようになりました。

 現在は、インターネットや情報機関などを介して、あらゆる情報が速やかに伝達されるようになりました。医療に関しても、治療内容や医師のプロフィールなどを容易に知ることができます。情報が増え、医師や病院を遷択できるようになったことはとても公平で良いことです。医療情報を共有することは、医療の標準化を推し進め、誰でも安定した医療を受けられるようになります。一方、標準化、画一化を進めてしまうと、医療の多様性が抑えられ、すべての病院がコンビニ化してしまい、医療現場で標準的以上のことはしなくなる、あるいはできなくなってしまう恐れもあります。患者さんにそれぞれ個性があるように、医療現場においては治療結果の多様性は避けることが出来ません。標準化された医療が全てに良い結果をもたらすわけではありません。高度の標準化は、個々の患者さんの病状に合わせ、最大限の良質な医療を行うという理想には、却って足かせになってしまうこともあります。

 病院や医師を自ら選び、インターネットで知った治療と同じものをして欲しいと思われること、それ自体は正しいと思います。ただし、情報として得た治察法が、その場で適切かどうかの判断は、責任を持って担当する医師に委ねられることになります。どなたにも、かかってしまった病気に対しては正当な医療を受ける権利があります。そこで、最大限の良好な結果を得るためには、患者さんと病院スタッフが信頼関係を築き、力を合わせて最大の医療効果が得られるよう努力しなくてはならないと思います。結果として、自分の思い通りに治療が進まないこともあるかと思いますが、そうであれば、できる限り理想に近づくよう互いに歩み寄り、共に頑張って行きたいと願っています。

 病院は、必要とする人々に、常にできる限りの医療を行うように定められています。そこには、人々のために努力を惜しまず頑張っている人たちが沢山います。困っている患者さんにはいつでも手を差し伸べるように教育もされています。皆様には、病院職員も一緒になって療養がスムーズに行われるよう努力していることを改めてご理解いただきたいと思います。

もし、努力が足りないとお気づきのことがありましたら、いつでもお伝えください。ご指摘に対しては真摯に対応いたします。



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