泌尿器科は腎臓から膀胱、尿道、前立腺、生殖器の疾患、および尿路感染 症や性感染症を扱う診療科です。そのほか腎臓のすぐ上方にある副腎の手術治療も行います。日本泌尿器科学会認定の指導医3名に加え、多数の非常勤の専門医によって、低侵襲治療をテーマとして日々努力しています。

 尿路結石治療では、1988年に体外衝撃波結石治療器(ESWL)を導入し、 2016年5月現在で7600例を超える結石を治療しています。ESWLでは困難な、尿管に強固に嵌った結石、硬い結石などには、経尿道的内視鏡レーザー砕石術(TUL)、大きな腎結石などには経皮的内視鏡による腎結石除去術(PNL)を行っています。腎から膀胱に尿を流す尿管は非常に細くデリケートです。また腎は1分に500mlもの血液の流れる臓器で、極めて出血しやすい臓器です。細くて優しい内視鏡と丁寧な技術が求められます。長年の経験と最新の治療器を生かし、結石治療センターとして、あらゆる部位やタイプ、他院では治療困難な結石にも対応しています。

 尿路がんの治療では、多くの場合に内視鏡や腹腔鏡を用い、低侵襲と機能温存を最重点としています。当院では1994年に腹腔鏡下手術を腎盂・尿管がんに対して開始しました。以後、適応を広げ、現在では腎がん、腎盂・尿管がん、前立腺がんでは全例腹腔鏡で手術しています。比較的小さな腎がんは、腹腔鏡でがん組織のみを切除する方法で治療が可能です。副腎腫瘍の手術、腎盂尿管移行部狭窄症による水腎症も腹腔鏡手術で行うことで、侵襲が小さくなります。

 前立腺肥大症の手術でも、特段の事情がない限り、レーザー核出法(HoLEP)を行います。切除すべき部分をまずレーザーで剥離して、遊離してから切り出す方法ですので、大きな前立腺肥大でも、通常の内視鏡的切除のように輸血が必要になることはほぼありません。本法では切除すべき腺腫を正 確に核出できるので、その点でも従来の内視鏡切除に比べ大きな利点になります。

 前立腺癌に対する根治治療では、腹腔鏡的全摘術が主な治療法ですが、2003年より高密度焦点式超音波治療(HIFU)もあわせて行っています。この方法は前立腺全摘術に匹敵する効果を持ちながら、体への負担が大変少ない療法です。器械も最新化され、緻密な熱コントロールにより、短時間で正確な熱治療が行えるようになり、成績も外科手術に迫るものとなっています。2015年までに111 名の患者様が受けられました。治療は自費になりますので、詳細は外来担当医におたずね下さい。

 腎不全が進行して、血液透析が必要となった際、透析に必要な血管手術も当科で行っています。腎不全あるいは血管シャントに関することは、泌尿器科あるいは腎臓内科外来でお尋ねください。また、泌尿器科では、一般診療の他、専門家による膀胱機能外来、尿路・腸管のストマ外来を設け、より専門的な治療を必要とされる患者さんのご要望にもお応えしていますので、是非ご利用ください。

 

泌尿器科  長倉和彦 病院長

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