1)歯がなくなって、放置して大丈夫かな?

 

 歯を抜かなくてはいけない主な原因には

 ① 虫歯が進行してしまった。

 ② 歯周病で歯がグラグラしてきた。

 ③ 外傷で歯が抜け折れてしまった。 

 などが考えられます。

 

 歯がなくなるといろいろな障害が起こります。奥歯(大臼歯)がなくなると直ちに感じることは「噛めない」。この大臼歯が一本なくなると食物を すりつぶす能力(咀喘能力)の約 30%が減少すると言われています。

 前歯がなくなるとどうでしょうか。これは審美的に大きな間題です。前歯は個人の口元を作り、笑顔、 表情、顔貌、に大きな影響を与えます。また、うまくしゃべれない、発音しようとしても息もれしてしまう、固形物をかじりとれない、などの障害も起こります。

 歯列の中で一本の歯がなくなると、隣の歯は寄り添うものがなくなったため欠如した方向に傾斜したり、捻転したりします。また噛み合っている反対の歯は、噛んでいる相手がいなくなったため挺出(歯が伸びたように変化する)してきます。また歯の位償が変化することで隣どうしの歯の間に隙間ができ、食べ物が詰まりやすくなり、気が付くと大きな虫歯になることもあり、歯肉の炎症が起き歯槽骨(歯肉の下の骨)が吸収し、他の歯がグラグラして抜ける結果になります。

 

 歯の位償の変化は、歯列の乱れも生じます。上下顎の歯列は正しく噛み合って咬合しています。しかし歯列の乱れにより噛み合わせに異常が起こってきます。噛もうとした時、噛みしめようとした時に特定の歯が強く当たり、う まく食べ物が噛めないという状況になり、顎の運動障害が起こります。

 

 2)どんな治療法があるのかな?

 

 ① 義歯による治療

 歯が一本抜けた場合の部分義歯から、歯が全部なくなった総義歯まで多くの歯の欠如に適応できます。残っている歯を 削ることなく口の中の状態の型を取って作製します。

 ② ブリッジによる治療

 失った歯の隣どうしの歯を削り、その切削部分と欠如した部分に人工的な歯を被せる方法です。橋(ブリッジ)のようにつなげ、形態、機能審美性を回復する治療法です。

 ③ インプラントによる治療

 インプラントは、欠如した歯の部分の顎の骨にインプラント体(人工歯根)を骨に植立する手術をし、人工歯を連結します。また全身の病状や顎骨の量や性状などによってインプラント治療が行えない場合も あります。インプラント治療後は、専門的クリーニングを行って、口腔内を管理する必要があります。

 

歯科衛生士  丸山みどり

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